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かごしま彰宏 国会質疑 参議院 農林水産委員会 2025年11月20日

質疑の要約

1. 食料自給率と米の生産体制

  • 自給率目標への決意: 鹿児島議員は、高一総理が掲げる「2030年度に食料自給率45%(カロリーベース)、ゆくゆくは100%」という目標に触れ、食料安全保障の観点から国内生産拡大の重要性を強調しました。
  • 米の重要性: 鈴木大臣は、米を「自給率100%を超えることのできる大切な基幹作物」と位置づけ、需要に応じた生産を前提に、増産に前向きに取り組める環境作りを目指すと述べました。

2. 米の需要見通しと拡大戦略

  • 需要減少の現実: 鹿児島議員は、人口減少や高齢化により米の国内需要が年10万トンペースで減少している現状を指摘し、農水省としての今後の需要に対する姿勢を問いました。
  • 新市場の開拓: 鈴木大臣は、単なる現状維持ではなく、「フェーズを上げた」需要拡大が必要だと回答しました。具体的には以下の戦略を挙げました:
    • 輸出拡大: 日系小売店だけでなく、現地のスーパーやレストランへの食い込みを強化する。
    • 高付加価値化: グルテンフリーの米粉、有機米、冷凍寿司、パックご飯などのプロモーションを強化する。
    • 外食需要: 海外での日本産米を使用したおにぎり店などの展開に大きなチャンスを見出している。

3. 政策メッセージの明確化(「需要に応じた生産」の再定義)

  • 表現の提案: 鹿児島議員は、「需要に応じた生産」という表現が受け身で現状維持(減産も含む)に聞こえるリスクを指摘し、政治が主体的に需要を作る姿勢を示す「需要喚起を伴う増産」という言葉への変更を提案しました。
  • 政府の姿勢: 鈴木大臣は提案に理解を示しつつ、供給過剰による価格暴落(生産の持続性喪失)を避けることが食料安全保障には不可欠であると強調しました。その上で、1年ずつの積み重ねで海外マーケットを獲得していく決意を述べました。

4. 農家の所得保障と水田政策の見直し

  • 赤字リスクの解消: 鹿児島議員は、特に中山間地域や中小規模の米農家が構造的な赤字に直面している現状を訴え、2027年度(令和9年度)以降に予定されている水田政策の見直しについて質しました。
  • 直接支払いの検討: 現行の直接支払い制度は、米粉用や飼料用などの特定用途に限定されています。鹿児島議員は、食料安全保障を担う農家を支えるため、**「主食用米への直接支払い」**を検討パッケージに含めるよう強く要望しました。
  • 農水省の回答: 山口農産局長は、具体的な支援内容については、主食用を対象とするかも含め、関係団体の意見を丁寧に聞きながら詳細に検討していく方針を示しました。

「100%自給」への挑戦状米を「守る」から「攻める」増産へ

食料安全保障の最前線でいま、一つの大きな「言葉の転換」が起きようとしている。高市総理が掲げた「自給率100%」という遠大な理想に対し、現場を覆うのは人口減少に伴う「年10万トン減」という冷厳な需要減少のトレンドだ。国会審議で投げかけられたのは、この縮小均衡の波にどう抗い、次世代の田んぼをどう維持するかという切実な問いだった。
政府が繰り返してきた「需要に応じた生産」というフレーズに対し、籠島彰宏議員はそこに潜む「受け身の姿勢」を鋭く突いた。需要減に合わせて作る量を減らす先にあるのは、水田の消失と安全保障の空白である。そこで提唱されたのが、政治が自らマーケットを創り出す**「需要喚起を伴う増産」**へのシフトだ。世界的なおにぎりブームやグルテンフリー需要を政府が先頭に立って「獲りに行く」ことで、増産への道を切り拓く。理想を語る段階を越え、フェーズを変えた「攻め」の実装が問われている。
さらに議論の矛先は、農家の台所事情という「現実」へ向かう。規模拡大やスマート化の影で、構造的な赤字に喘ぐ中小規模や中山間地の農家たち。「作れば作るほど赤字」というねじれを解消するため、検討の遡上に載せられたのが「主食用米への直接支払い」の導入だ。マーケットの論理に委ねるのか、政策という「公」の意志で支え抜くのか。2027年度以降の水田政策見直しを控え、食卓の未来を左右するパッケージがいま、オープンな議論の場で編み直されようとしている。

質疑文字起こし全文

開会挨拶と新人議員としての抱負

籠島彰宏: 国民民主党・新緑風会の籠島彰宏です。夏の参議院選挙で神奈川県から当選をさせていただいた新人でございます。本日は質問の機会を頂戴し、誠にありがとうございます。また本日は、名だたる先輩方とお手合わせの機会を賜り、大変恐縮でございます。何卒よろしくお願い申し上げます。

食料自給率と安全保障、基幹作物としての「米」

籠島: 早速に入らせていただきます。まずは自給率についてお伺いをいたします。 カロリーベース自給率に関して、高市総理は閣議の目標として、2030年45%、基本計画の数値を指示をされました。とはいえ、先日の代表質問では「ゆくゆくは100%を目指していきたい」との強い思いを述べられています。
その心は、いかなる時にも食料の供給を滞らせないという食料安全保障の確保だと思います。食料安全保障を考えれば、やはり麦、大豆、餌、こうした国内生産の拡大、輸入からの転換、これも当然欠かせないと思います。特に主食であり、食料安全保障の基幹作物である米、これをどのように生産をしていくかという点は極めて重要だと思います。
これらの点に関して、高市総理の思いや食料安全保障、特に米の生産との関連を踏まえて、大臣の思いをお伺いさせてください。
鈴木農林水産大臣: ご質問ありがとうございます。まず、籠島委員におかれましては当選おめでとうございます。私も農水の出身ですけども、農水省の出身ということで、日本の食のために同じこういう場でお仕事ができるということを大変嬉しく思っております。
今ご質問の点ですが、まず高市総理は国会で、まずは2030年度に45%とする目標を設定し、最終的には食料自給率100%を目指していきたいとの強い思いを示していただきました。食料安全保障を確保する観点からは、食料自給率、食料自給力を高めることが重要です。
特に国民の主食である米については、自給率100%を超えることのできる大切な基幹作物であると認識をしております。需要に応じた生産を行うことを前提に、増産に前向きに取り組めるようにしていきたいと考えております。食料はできる限り私たちの国で自給ができる姿が当然望ましいものと私自身も考えており、国産への切り替え、および我が国の高品質な農林水産物の輸出等に取り組み、まずは食料・農業・農村基本計画で設定をした5年後の2030年度に45%とする目標の達成に向けて、様々な政策を講じていきたいと考えております。

米の需要動向と長期的な減少リスクへの認識

籠島: ありがとうございました。国の安全保障、食料安全保障において米というのは本当に大切な基幹作物であり、今その決意について大臣からもお言葉をいただきましたことを大変嬉しく思います。
そうした中、起きたのが米不足でございます。ここからは米についてお伺いをいたします。 確かに今、この米の需要というのは短期で伸びてはいるところではありますが、その要因については相対的な小麦の値ごろ感であったり、あるいはインバウンドの増加、こういったものだと思います。これらは今後も継続をする可能性があります。
一方で過去を見れば、これまで年間10万トンのペースで需要が減少してきたのが米であり、そしてこの原因である人口減少、そして1人当たりの米消費量の減少、高齢者層での米消費量の減少、こういったことも変わりません。そうした中、果たして今後の米の需要量はどうなっていくのかといったところで、基本計画の米生産量の目標、これは2030年818万トンと現在より増産ではありますが、これは主食用以外のものも含めたトータルなものであると認識をしています。
以前には、農林水産省の見通しで令和4年12月の基本法検証部会では、現状700万トン弱ある主食用米の需要量が、2040年には約3割減の493万トンくらいになるだろうといった見通しを出されていたこともあります。そうした中において今の基本計画を見てみると、やはりマクロでは年10万トン程度の主食用米の国内需要の減少が続いており、今後もこの傾向が続くことが見込まれるとあります。
本当は、こうした情報を踏まえて食料安全保障という観点から「今後の米の需要量はどうなっていくんですか」ということをお伺いしようと思ったんですが、まさしく同じような質問を先ほど徳永先生がされておりまして、その時いただいた答弁が「分析・調査が必要である」「高くても買う人もいる、買えない人もいる」ということで、この調査に対して時間がかかるというものでございました。
だからこそ、大変恐縮ではありますがもう一歩踏み込んだ形でお伺いをさせていただければと思います。時間がかかるということは私もよく分かります。ただ、この「見通しを作る」というのは、今ある需要をどう見通すのか、今後増えていく需要をどのように見通していくのか、あるいは減っていくのか、こういった部分かと思います。この方向性として、やはり米の減産というのは水田の減少を招きます。食料安全保障上のリスクでもございます。こうしたことを踏まえて、需要の見通しではなく「需要をどのようにしていきたいのか」、そうした農林水産省の姿勢をお伺いできれば幸いです。

農水省の姿勢:新たな需要の創出と目標達成への検証

山口農産局長: お答え申し上げます。委員ご指摘の通り、国内の需要を減少させる人口減少ですとか高齢化、今後も続くと思っております。こうした中で、米の新たな需要を生み出していくことは、食料安全保障の確保を図る上でもとても重要な課題だという風に思っております。
食料・農業・農村基本計画におきましては、委員ご指摘の通り、2030年の生産目標を2023年時で791万トンから818万トンに増大することにしております。その中で、例えば主食用、市場開拓用、米粉用、飼料用、それぞれいろんな用途があるわけでございますが、この生産量や作付け面積について、それぞれごとにKPIというのは基本計画上は設定していないということでございます。
その要因としては、やはりそれぞれごとの目標を定めると、それぞれごとに需要を伸ばしていくという観点から、必ずしも現段階では難しい課題があるんじゃないかということで、基本計画上は個別目標は設定しておりませんが、一方で先生おっしゃられる通り、輸出も当然必要ですが、米粉用、加工用、当然業務用とかいろんな需要に対して、どれだけ需要があってどれだけ供給できるのかをしっかり検証しながら拡大していく必要があると思ってます。そういう観点で、農水省としてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

輸出と米粉:既存政策を越える「フェーズ」の引き上げ

籠島: ありがとうございました。米の需要量を増やしていくということは大切でございますし、戦略として、内々の数値だったとしても持っていく必要があるだろうという風には思っております。
これまで鈴木大臣も筆頭に立たれて、米の需要量の拡大に取り組まれてきたと思います。ただ、私の承知している限りでも、それについてはやはり米粉の推進であったり輸出の拡大といった部分であり、なかなか需要の減少というところに歯止めがかけられていないのが今の状況でございます。
そこでお伺いをしたいのが、米の需要喚起に対して、米粉であったり輸出であったり、こうした既存政策の拡充で十分だと思われているのか。あるいは、新たな政策も組み合わせてさらに抜本的に取り組んでいくおつもりなのか、お伺いをしたいと思います。
鈴木大臣: ご質問ありがとうございます。まず、我が国の水田農業を維持するとともに食料安全保障を確保していくためには、業務用向けの低価格帯も含めた多様なニーズに応えられるよう多様な生産を確保していくほか、海外も含めて米のマーケットを拡大していくことも重要です。これまで輸出促進に向けたレストランや、米粉の利用促進に取り組んできました。
現在、米の輸出量が令和6年に4.5万トン、米粉の需要量が令和6年度は5.6万トンと着実に伸びてはいるんですが、さらに気合を入れて伸ばしていかなければならないと思っています。
米の輸出拡大に向けて何をしなければならないかと言いますと、まずは日系だけでなく現地のスーパーやレストランへしっかり入り込んでいく努力が必要です。私は、この輸出は大幅に伸びる余地があると考えています。先日もパリのシャルル・ド・ゴール空港で、1個約1000円のおにぎりが並んでいました。カチカチで美味しそうではなかったのですが、そういった外食も含めた日本産米の利用拡大にはすごいチャンスがあると思っています。
また、グルテンフリーの米粉や有機、パックご飯などのプロモーションを強化すると共に、商品開発や専用品種の普及に取り組み、これまでのやり方をフェーズアップさせ、政府が前面に立ってやっていくことが必要だと思っています。特に海外輸出については、事業者の皆さんが一生懸命取り組んでいただいていますが、正直、あまり利幅の取れるビジネスではありません。我々がどこまで何をやったら民間が頑張っていただけるかということも踏まえ、全面に立って取り組みをさせていただきたい。

政治の主体性:需要喚起を伴う「増産」への転換提案

籠島: ありがとうございました。気合を入れて、国が前面に立って需要の拡大をしていくんだという決意をいただいたと思っております。
そうした中でお伺いをしたいのが、政府が掲げられている生産の方針「需要に応じた生産」でございます。大臣がおっしゃったように需要を先に確保して増産をしていく、その点については私も同意をいたします。一方で、「需要に応じた生産」という言い方ですと、うまく伝わらないのではないかと思っています。
この米不足を踏まえて「二度と米不足を引き起こさない」というメッセージを出す必要がある中、「需要に応じた生産」という言い方は、どうも受け身に聞こえています。結局、蓋を開けないと増産か減産か分からないから態度を保留しているようにも聞こえてしまい、現場や消費者の不安感を生んでいるのではないでしょうか。
需要を政治が前面に立って作っていくんだという決意を示すために、「需要に応じた生産」よりも**「需要喚起を伴う増産」**、こうした言い方で政府の姿勢をクリアにした方がいいのではないかと思います。これ、ご提案でございます。大臣いかがでしょうか。
鈴木大臣: ありがとうございます。アドバイスも含めていただいたんだと思っています。
まず、委員がご指摘いただいた通り、需要がないにも関わらず大幅に生産を増やせば供給過剰となり、マーケットメカニズムにより米価は再生産や再投資が困難な水準まで低下してしまい、結果として米生産の持続性が失われることになります。この事態は何としても避けなければならないというのが、食料安全保障のために何と言っても必要だろうと思っています。
このために米のマーケットを拡大していくことが重要なんですが、確かに「需要喚起を伴う増産」という言い方については、悪くはないような気もします。ただ、課題としては、「需要喚起」という言い方をした場合は国内マーケットで主食用米の消費量を増やしていくというニュアンスに限定されてしまうように捉えてしまいます。
私が難しいと思っているのは、保存の仕方も売り方も全く異なる海外に、日本の価値を伝えて新たなマーケットを確立していくことです。これは1年2年ですぐに行政が主導してできることではないと思っていまして、積み重ねで結果として大きいマーケットを獲得することになると思います。ぜひ、そういった方向で一緒に取り組ませていただけたらありがたいと思います。

所得補償:水田政策見直しと主食用米への直接支払い

籠島: ありがとうございました。大きな方向性はおそらく同じなんだろうという風に思っています。 次の質問に移らせていただきます。所得補償の話をさせていただきます。
需要喚起と共に考えなければならないのが、やはり米農家の経営を支える所得補償であると思います。ご存じの通り、これまでのトレンドでは米農家は赤字続きでございました。中山間地や中小規模農家は、構造的に「作ったら作った分だけ赤字」ということが、今回の米不足もあって多くの方が知るところになったと思います。
こうした農家が廃業に追い込まれてしまうと日本の食料事情は守れない。この問題の解決のためには、やはり検討中の水田政策の見直しが重要だろうと思います。
基本計画を見てみると、「作物ごとの生産性向上等への支援へと転換する」とあります。「作物ごと」と言うからには、米は米なんだろうと思っております。現状の直接支払い制度では、主食用米への直接的な支援はありません。用途を米粉用や飼料用、輸出用などに限定した上で支援をしています。これでは米農家の赤字リスクは減りませんし、食料安全保障の課題も解決しません。
お伺いいたします。今回の水田政策の見直しにおいて、米の支援には主食用への支払いも入るのか、検討をお伺いいたします。
山口農産局長: お答え申し上げます。委員ご指摘の通り、令和9年度以降の水田政策の見直しにおきましては、水活(水田活用直接支払交付金)を作物ごとの生産性向上への支援という形で転換するということで検討をすることになっております。
生産者に対する具体的な支援内容につきましては、主食用を対象とするかも含めまして、現地の方々、関係団体を含めた幅広いご意見を丁寧に伺って詳細な検討をしてまいりたいと考えております。
籠島: ありがとうございました。主食用米もしっかりと俎上に載せる、主食用への支払いも入れていくことを重ねてお願いをしたいと思います。
生産性向上に取り組める農家はいいですが、取り組めない農家も土地や権利の状況でたくさんいらっしゃいます。直接支払い、所得補償のあり方をもう一回きちんと見直すべきであり、議論の中で漏れがあってはならないと思っております。
真に国民のためになる制度を確立できるよう、主食用米の補償の導入を含めてパッケージで検討するために、共に議論する場を設けていただきたいと思います。最後に大臣の思いだけお伺いさせてください。
鈴木大臣: 議論はオープンに、しっかり対応させていただきたいと思います。
籠島: ありがとうございました。

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