要約
衆議院総務委員会における高沢一基委員と関係省庁・大臣との質疑の要約です。
遺族補償年金の受給資格要件の変更
- 男女格差解消のため、遺族補償年金における夫の受給年齢要件(55歳以上)を撤廃し、民間労災の法改正に合わせます。
- 対象者は年間3〜4名程度増え、支給総額も増加する見込みですが、既存および新規受給者の年金が減額されることはありません。
各種補償の消滅時効延長と「骨折」等の扱い
- 療養補償等の消滅時効が、脳・心臓疾患、精神障害、石綿関連疾病の特定疾患に限り2年から5年に延長されます。
- 藤井総務大臣は、全疾病を一律5年に延長しない理由を「過去の事実の立証が困難になり、被災職員の迅速な救済に支障が生じる懸念があるため」と説明しました。
- 高沢委員は、2年を超過した申請割合が0.1%と低い「骨折」について、実際の超過申請件数(59件)は脳・心臓疾患(10件)や精神障害(21件)よりも多いという実態を指摘しました。
- 高沢委員は件数の多さを踏まえ、未請求者を救済するために骨折等の全疾病の消滅時効も5年へ延長すべきと主張し、厚生労働省との協議を強く要望しました。
- 藤井総務大臣は、本件は一義的に厚生労働省で検討されるべきものであり、労災保険制度の改正が行われた場合には総務省としても適切に対応すると答弁しました。
文字起こし(全文)
高沢:
国民民主党の高沢一基です。 では、法案の質疑に入らせていただきたいと思います。 まず初め、遺族補償年金の受給資格要件の変更についてということで、男女差を解消するということで、本日も様々議論がされてまいりました。 今までは、妻が亡くなった場合は55歳以上じゃないと対象じゃなかったものを、本改正によって、夫と並べて年齢要件をなくして支給されるというもので男女格差をなくそうという目的であります。 これについて民間の労災についてはもう皆さんもご承知の通りですが、本年7月に労働者災害補償保険法が改正をされまして、もうすでに成立をしていて、それに合わせる地方公務員の部分も合わせるという改正だというふうに理解をさせていただいております。 その時にも民間労災については男女格差について、係争中の中、7月成立をしたわけでありますけれども、先ほど質疑もありました通り、地方公務員の災害補償法については、男女格差の規定について平成29年に最高裁で合憲の判決が出ている。 そういった中での今回改正ということであります。 それについて、合憲の判断が出てる中で本改正をする理由について私からも同じでありますけれども確認をさせていただきたいと思います。
野村公務員部長:
お答えいたします。 地方公務員の災害補償制度については国家公務員との均衡を失しないよう、適当な考慮を払うこととされておりまして、また国家公務員の災害補償制度につきましては、労働者災害補償保険制度との補償内容の均衡を考慮することとされております。 労働者災害補償保険制度につきましては厚生労働省の労働政策審議会におきまして議論を行った結果、近年の女性の労働参加の進展、男女間賃金格差の縮小等により、遺族補償年金における現行の夫と妻の支給要件の差異に合理的な理由を見出すことが困難になりつつあることを踏まえまして、遺族補償年金の支給要件による男女差を見直すということとされたところでございます。 これを受けて労働者災害補償保険法の改正が行われまして、今般の人事院による意見の申出を踏まえまして国家公務員災害補償法の改正が行われるところでございまして、地方公務員災害補償法についても、国家公務員災害補償法との均衡を図るため同様の改正を行うものでございます。 以上でございます。
高沢:
はい、ありがとうございます。 民間の労災が改正されてますのでね、地方公務員と国家公務員だけ違っているってのはやっぱりおかしいと思いますので、当然かと思います。 本当にありがとうございます。 今回妻の年齢要件がなくなることによって、どのぐらい補償の対象が増えるのかということで事前にお聞きしましたら、年間、公務員である妻が亡くなる地方公務員が3、4名程度というお話で、3、4名の方で、先ほども250万円というお話がありましたから、考えると年700万円から1000万円程度が支給されるというふうに増えるという風に思います。 こういった支給対象が増えて総額が増えるわけでありますけれども、念のための確認ですが、支給額については今までと変わりなくしっかりと減額されることなく支給されるというふうに理解してよろしいでしょうか。 よろしくいたします。
野村部長:
お答えいたします。 今回の改正につきましては先ほどもお答えしましたように、女性の労働参加の進展などを踏まえまして、55歳以上の妻にのみ年金額を加算する合理的な理由を見出すことが困難になりつつあることを踏まえ、男女差を解消するというものでございます。 従いまして、すでに遺族補償年金を受給している方やこれからの遺族補償年金を受給する方の支給額を減額するといった内容にはなってございません。 以上でございます。
高沢:
はい。 すでに受給されてる方ももちろんですが、新たな方も減額がないということで確認をさせていただきました。 続いて各種補償の消滅時効の件についても確認をさせていただきたいと思います。 今消滅時効が2年であったものを、特定の疾病については5年にしようということで、労政審での議論を踏まえて脳・心臓疾患、それから精神障害、石綿関連疾患の消滅時効を5年に改めるということで詳細なご説明をいただいております。 これらの疾病については政令で定めるというお話を伺っておりまして、今議論してます地方公務員については総務省の政令でと。 国家公務員については人事院の規則でと。 民間については厚生労働省の政令で定める見通しというふうに伺っております。 実質的には厚生労働省の政令に倣ってそれぞれバラバラというわけにいかないと思いますので、国家公務員も地方公務員も定められるのかなというふうに理解をしておりますが、この消滅時効、5年と定める疾病を政令で定める中で、専門家や関係団体の聴取というものはされているかどうか厚生労働省に確認をさせていただきたいと思います。
厚生労働省牛島大臣官房審議官:
お答えいたします。 改正労災保険法の施行に向けました消滅時効期間を5年とする対象疾病を規定する関係省令の改正等につきましては、本年8月以降、公益代表委員、労働者代表委員、使用者代表委員から構成されます労働政策審議会において議論を行ったところであります。 ご議論いただいた結果、具体的な疾病については政令で大枠、具体的には省令で規定をするという構造になってございますけれども、この内容につきましては、脳・心臓疾患、精神疾患、石綿関連疾病を対象疾病とするということにつきまして、本年10月、おおむね妥当という答申をいただいたところでございます。 以上です。
高沢:
はい、ありがとうございます。 最終的には省令なんですね。 ちょっと私政令かというふうに思ってたんですけども。 労政審の8月以降の議論でされているということで、労政審の委員さん中には関係団体、労働者関係とか、あるいは専門家ということで医師であったりとかいるというふうに思ってはいるんですけれども、実際委員の中に入っているかどうかの確認をさせてください。
牛島審議官:
お答えいたします。 公益代表委員の中に1名医師を入れているという構造になってございます。
高沢:
はい、委員長。 労働側もいるというふうに名簿では見させていただいてますので、医師等労働者・関係団体と専門家の意見も聞いて決められているというふうに理解をさせていただきたいと思います。 本年5月から7月にかけて、この改正労災法の審議が衆参ともに厚生労働委員会の中で議論されている中でですね、この疾病については一部の疾病を5年と消滅時効するんではなくて、全ての疾病について5年にするべきではないかという意見が様々出ていたというふうに思います。 こうした意見に対して、今回改正案提案されてます総務大臣としてどのようなご見解をお持ちかお聞かせください。
藤井大臣:
現行の地方公務員災害補償法では、補償を受ける権利のうち、療養補償等については権利の行使が比較的容易であり、また、補償を受ける事由が生じた場合には、早期に権利確定を図り、被災職員の回復に向けて、適切な補償を迅速に行っていくことが重要であるため、消滅時効期間を2年としております。 労働者災害補償保険制度では、脳・心臓疾患、精神障害、石綿関連疾病については、2年の時効期間を徒過するケースが少なくないとの指摘があったことから、療養補償等を受ける権利の消滅時効期間が5年に延長されたところです。 一方で、仮に時効を一律5年といたしますと、過去の事実の立証困難な事案が増加し、被災労働者の迅速な救済という観点から支障が生じる懸念があることから、一律の延長とはしていないというふうに承知をしております。 今般の改正においては労働者災害補償保険制度や、国家公務員災害補償制度における動向等も踏まえ、脳・心臓疾患、精神疾患、石綿関連疾病に限って消滅時効期間を5年に延長する見直しを行うこととしております。
高沢:
どうもありがとうございます。 脳・心臓疾患、精神障害、石綿関連疾患については5年にするけれども、それ以外、骨折等については2年のままということで、これ参議院で労災法の審議の時の答弁も、同様の答弁が厚生労働委員会の方で出てたわけですけれども。 迅速な再発防止や職場復帰、それから過去の事実の立証から早期請求してもらうため2年というお話をいただいてるんですが、これ時効が5年になったからといって5年まで請求待ってくださいっていう話ではないので、十分に5年になっても早期の申請ってのはできるなと。 これやはり周知の問題だろうかというふうに思います。
資料で労政審の資料を配布させていただいているんですけれども、今回5年にするにあたって、脳心臓疾患は、これ2年を超過した時の申請にしたものについては割合として5.7%あると。 精神障害は2.6%。 石綿関連疾患は8.3%と。
で、骨折は0.1%ということなので、割合の高いものを今回5年にしましょうというのが議論をされたという風に承知をしております。 今その方向で政令を定めることも進めているんだと思うんですけれども、私ここでご注目いただきたいなと思ったら、件数、割合は確かに骨折0.1%なんですけれども、骨折は実は件数でいくと59件。 脳心臓疾患は10件。 精神障害は21件。 石綿関連は56件ということで、件数では骨折が一番多いんですよね。 もしこの救済をしていこうと時効になって請求できなかった方の救済をしようと考えれば、人数がやはり多い、件数が多いところの救済を考えるってのも一つの方法ではないのかなと、そう考えるとやはりすべての疾病について消滅時効5年、民法の規定に準じて5年にするというのは妥当な考えかなというふうに思うところであります。
そういった考えにつきまして、これから政令が総務省においても定められるって話なんですけれども、やはりすべての疾病を消滅時効5年とする必要があるというふうに私は考えるんですけれども、総務大臣として厚生労働省と協議をしていただきたいという風に思いますがいかがでしょうか。
藤井大臣:
地方公務員の災害補償制度につきましては、労働者災害補償保険制度の動向を踏まえ、国家公務員災害補償制度との均衡を失しないこととされております。 労働者災害補償保険制度につきましては、一義的には、所管省庁である厚生労働省において検討が行われるべきものと考えております。 同制度、労働者災害補償保険制度の改正が行われる場合には、地方公務員災害補償法の趣旨を踏まえ、総務省として適切に対応してまいりたいと考えております。
高沢:
どうもありがとうございます。 確かに総務省だけ、地方公務員だけ別ってわけにはいきませんので、そこはやはりしっかり厚生労働省で議論を深めていただいてやっていきたいと思いますし、政令これからなので期待をするところなんですけどもおそらく除外されてしまうのかなと、すべてのじゃないのかなという風に今の流れだと思ってますので、将来的な制度の充実のためについてはですね、やはりしっかりと厚生労働省内でも議論していただきたいと思いますし、地方公務員を所管する総務省としてもご議論していただいて、厚生労働省との意見交換等もしていただければありがたいというふうに思います。 以上で私の質疑終了させていただきます。

